乳歯を再生医療に活用 名大「幹細胞バンク」設立 上田教授らは2003年、人の永久歯から歯の神経組織である「歯髄」を採取し、その中からさまざまな器官に成長する能力を持つ幹細胞を取り出すことに成功。その後の研究により、乳歯が永久歯よりも幹細胞が増殖しやすいことが分かった。 幹細胞は骨髄や臍帯血にもあるが、乳歯の幹細胞の方が、細胞密度が高く、骨や軟骨以外に神経、血管などに分化する可能性を持つ。さらに上田教授らは最近、イヌから採取した乳歯幹細胞を親イヌに移植したところ、歯槽骨を再生することに成功、乳歯幹細胞から培養した骨が同種の動物で世代間を超えた移植が可能であることを確認した。 乳歯幹細胞研究バンクでは、一般歯科医院や歯学部付属病院から提供を受けた乳歯の歯髄から幹細胞を分離し、超低温で保存。細胞治療や再生医療に役立つ基礎研究を行う。抜けた乳歯は牛乳につけて冷蔵保存し、48時間以内にバンクに持ち込めば細胞が死滅することなく使用できるという。 白血病治療では骨髄や臍帯血の幹細胞の利用が知られているが、これらの採集は提供者の負担も大きく十分な量が集まっていないのが現状。また、万能の再生治療が期待されるES細胞(胚=はい=性幹細胞)技術も倫理上の問題がある。抜けた乳歯なら提供者の負担もない。近い将来には子どもの乳歯幹細胞を利用した親の骨粗しょう症、骨折など骨疾患への利用が可能。将来的には親以外の近親者への治療のほか、ひざやあご関節などの軟骨疾患、脳梗塞(こうそく)などの難治性の神経疾患、ケロイドや傷あとなどの皮膚疾患などの治療への応用可能性がある。 |
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歯の定期検診、過半数が「受けたことがない」2006年07月04日 15時59分
マイボイスコムは7月4日、歯の健康に関する調査結果を発表した。それによると、歯科の定期検診を受けている人は3割に満たず、受診しない人の割合が依然多いという。 定期検診を受けている人の内訳は、「3カ月に1回以上」が4.5%、「半年に1回」が9.0%、「1年に1回程度」が14.8%だった。また「以前は定期的に受けていたが、今は受けていない」人が18.2%で、「定期検診は受けたことがない」人が53.6%と過半数にのぼった。 歯の健康で気になることは、「歯垢・歯石」が最多で44.8%。次いで「色素の沈着・歯の色」(34.4%)、「歯周病など歯ぐきに関するトラブル」(32.7%)、「歯並び・噛み合せが悪い」(32.6%)などが僅差で続いた。「『虫歯がある』(26.7%)という悩みよりも、日常のケアや見た目、歯ぐきのトラブルなどの関心が高いことが分かった」(同社) 現在最も気になることを尋ねると、「虫歯がある」(15.0%)、「歯並び・噛み合せが悪い」(14.8%)、「歯周病など歯ぐきに関するトラブル」(14.0%)がトップ3で拮抗している。しかし、気になることがありながら「何もしていない」人が最も多く、45.8%に達した。 歯磨きアイテムを選択する際の重視点を尋ねると、歯ブラシ・歯間ブラシ類は「ヘッドが小さい」が43.5%で圧倒的に多かった。また、歯磨き粉を選択する際の重視点では、「虫歯予防効果」「口臭予防効果」「歯垢除去効果」など、各種効果を求める回答が上位5項目を占め、「価格」は7番目となった。 調査は2006年6月1〜5日まで、1万3741人を対象にオンラインでアンケートを実施したもの。 |
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ライオン、フッ素の虫歯予防効果を高める新成分を発見 歯表面での滞留量が増え、再石灰化もアップ ライオンオーラル研究所は、歯の表面でフッ素が虫歯予防効果をより発揮するための新材料を開発した。 高分子の「カチオン化セルロース」という成分で、フッ素入りの歯磨き剤に加えると、フッ素が歯の表面に吸着しやすくなり、歯の再石灰化をより促進することを発見した。 日本で売られている歯磨き剤のほとんどには、虫歯予防の目的でフッ素が含まれている。歯は常に、内部からミネラルが溶け出す「脱灰」と、そのミネラルを再び歯に取り込んで修復する「再石灰化」を繰り返している。脱灰が上回ると虫歯になり、逆に再石灰化が上回ると歯がより強くなる。 フッ素は「再石灰化」を促進して、歯を強くする。虫歯予防の効果を高めるには、このフッ素が歯磨きの後、どれだけ歯の表面に残っているかが重要になる。各メーカーは、フッ素の効果をより高める方法を研究している。 フッ素は口の中ではフッ化イオンとなり、マイナスに荷電している。歯の表面もマイナスだ。同研究所では、「カチオン化セルロース」はプラスに荷電した高分子であることに着目、これがあると歯の表面をコーティングし、フッ素を呼び寄せるのではないかとの仮説を立てて、研究を進めた。 実際に「カチオン化セルロース 環状4級アンモニウム型(以下、環状型)」という成分をフッ素入り歯磨き剤に配合し、人間の口腔内に装着した人工歯を使って試験をしたところ、フッ素の歯面への滞留量が約1.6倍向上することを確認した。 また、人間の歯に人工的に初期虫歯(歯の内部からミネラルが溶け出しているが、まだ孔はあいていない、虫歯の手前の状態)を作り、この成分を配合した歯磨き剤で1日2回、1週間磨いたところ、配合しない場合と比べ、初期虫歯の修復効果が約30%向上した。 ただし、「カチオン化セルロースがどのように働いて、フッ素の歯の表面の滞留量を増やすかについては、まだ研究中」(ライオン広報室)という。この研究成果は、10月の第54回日本口腔衛生学会総会(東京)で発表する予定という。 カチオン化セルロースは、紙の主成分であるセルロースに複数のカチオン基を結合させた高分子成分。毛髪表面をコーティングして、きしみを防止する成分として、シャンプーやヘアケア剤などに利用されている。 ちなみに、花王は2種類のフッ素化合物を配合し、使用時に混じり合うようにすることで歯の表面へのフッ素の吸着力を高めることを確認、既に製品化している。この技術を用いると、2剤が混じり合い、一剤型ではできないナノ微粒子のフッ化カルシウムが生成されるため、歯の表面へのつきが良くなり、初期虫歯の修復効果がアップするという。 (日経BP社 2005年 9月1日) |
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歯周病:失われた組織 塗り薬で再生 大阪大大学院教授ら 歯周病で失われた骨の組織を塗り薬で再生させる治療法の開発に、大阪大大学院歯学研究科の村上伸也教授らの研究グループが成功した。これまでは、病気の進行を食い止める治療法しかなく、重症の場合には抜歯していたが、組織の再生により歯を保存できる可能性が高まった。臨床試験では、重篤な副作用はなく、順調に進めば数年後には治療薬として利用できるようになる見通し。 歯周病は、歯を支えるあごの骨「歯槽(そう)骨」が口の中の細菌によって破壊され、やがて歯が脱落する生活習慣病。35歳以上の80%がかかっているといわれる。歯周病で破壊された歯槽骨は元に戻らないとされ、重症の場合は、歯を抜くしか治療法がなかった。 村上教授らは、「科研製薬」(東京都)と共同で、細胞を増やす働きがある特定のたんぱく質を用いた薬を開発。細胞を使った実験では、歯槽骨の元になる幹細胞から、歯を支える歯槽骨、歯の表面のセメント質、それらをつなぐ歯根膜の細胞が同時に増殖することを確認した。動物実験でも、歯周病で失われた組織の再生に成功した。【山崎明子】 毎日新聞 2005年1月16日 3時00分 |
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歯垢が肺炎を引き起こす 【ワシントン=笹沢教一】歯垢(しこう)の中に潜む細菌の中に呼吸器疾患や院内感染に関係する種類が含まれ、高齢者などに重い肺炎を引き起こすケースが起きている実態が、米バファロー大歯学部の研究で30日明らかになった。 ◆黄色ブドウ球菌など 院内で感染か 歯垢と呼吸器疾患との因果関係を証明した初の成果。高齢者介護における歯科衛生などの面からも注目されている。米国の胸部疾患専門誌の最新号に発表された。 研究チームはニューヨーク州の高齢者向け長期療養施設の患者49人について歯垢を分析した。28人から肺炎を引き起こす黄色ブドウ球菌やグラム陰性菌、緑のう菌を検出した。うち14人が肺炎を起こし、DNA分析で少なくとも8人の歯垢と肺に潜む細菌が一致した。 これらの細菌は院内で感染した疑いがある。いずれの種類も、抗生物質の耐性を獲得して院内感染を引き起こす危険性を持っているため、研究チームは「高齢者を扱う施設では歯と入れ歯の双方の清潔を保つ必要がある」としている。 (2004年12月2日 読売新聞 ) |
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最新の虫歯治療は「痛まず・削らず・一度だけ」
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歯周病菌やっつける物質をライオンが発見 薬剤が効きにくい歯周病菌に対し、優れた殺菌効果を示す物質をライオンのオーラルケア研究所が発見した。 虫歯と並び、歯を失う原因の半分を占めるとされる歯周病の予防に生かせると期待される。 歯の表面についたネバネバの「歯垢(しこう)」は、食べ物のかすをエサに繁殖した細菌の集団。集団化した細菌は、糖などで防護壁を作り、薬をはね返してしまう。 ライオンは、この防護壁を突破できる物質の探索に乗り出し、ボディーソープなどに使われている化学物質「イソプロピルメチルフェノール」が、突破力も殺菌効果も極めて高いことを発見した。 歯垢の除去は歯磨きが最も効果的だが、完全に磨くのは極めて難しく、40歳代の歯周病の保有率は8割に上るとされる。放置すると歯茎が炎症を起こし、悪化すると周囲の骨まで侵食、歯が抜けてしまう。 同社は今後、この物質を入れた歯磨き剤の開発を進める。 (2004/7/19/ 読売新聞) |
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「虫歯対策は予防が大切」 JFSCPが新HP 日本フィンランドむし歯予防研究会(JFSCP、東京都荒川区、鈴木章理事長)はこのほど、虫歯予防法などをまとめたサイト「フィンランドから学ぶ大人とこどものむし歯予防」を開設した。 虫歯の原因は人それぞれ異なるため、成長段階や生活習慣など個別のケースに分け、虫歯予防の先進国フィンランドが実践している「歯磨き」「フッ素」「正しい食生活」「定期検診」「キシリトール」の五つを中心に予防法を紹介する。 また、都道府県別に、同会会員の歯科医院検索ができ、それぞれの対応できる処置を表示している。 虫歯は、なってから直す治療ではなく、作らないための予防が重要という。だが、患者の多くは、虫歯になり痛みを感じてから病院に行く。同会は「日本人は、歯磨き以外の予防に対する意識が低い。サイトを通して、予防意識の改革に役立てたい」という。 Mainichi Interactive 2003-12-11 ★当医院も”日本フィンランドむし歯予防研究会”に所属しています。[JFSCPの新HP] |
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ぼけ予防: 歯が減ると脳も萎縮 東北大グループ 残っている歯が少ない高齢者ほど、記憶をつかさどる大脳の海馬付近の容積が減少していることを、東北大大学院の渡辺誠・歯学研究科長らのグループが突き止めた。アルツハイマー病になると海馬が萎縮(いしゅく)することが知られており、渡辺さんは「ぼけ予防のためには、自分の歯の数を保つことが大切だ」と指摘する。24日東京で開幕したアジア・オセアニア国際老年学会議で26日に発表する。 研究は、財団法人・ぼけ予防協会が厚生労働省の助成を受けて設置した調査研究検討委員会(委員長、石川達也・東京歯科大学長)のプロジェクトとして実施された。 東北大グループは、仙台市内の70歳以上の高齢者1167人を対象に調査した。健康な652人は平均14.9本の歯があったが、痴呆の疑いのある55人は同9・4本と少なく、歯の数と痴呆との関連が示唆された。 さらに、高齢者195人(69〜75歳)の脳をMRI(磁気共鳴画像化装置)で撮影し、残っている歯や、かみあわせの数と、脳組織の容積との関係を調べた。その結果、歯が少ない人ほど、海馬付近の容積が減少していた。意志や思考など高次の脳機能に関連する前頭葉などの容積も減っていた。また、かみあわせ数が少ないと、こうした部分の減少が大きかった。 渡辺さんは「かむことで脳は刺激されるが、歯がなくなり、歯の周辺の痛みなどの神経が失われると、脳が刺激されなくなる。それが脳の働きに影響を与えるのでは」と話す。【足立旬子】 海馬 大脳の側頭葉の内側にあり、記憶や学習のメカニズムを担っている。タツノオトシゴのような形をしていることから命名された。入ってきた情報は海馬に一時的に保存され、「長期増強」という定着機能によって簡単に忘れない記憶に変わると考えられている。 [毎日新聞11月25日] ( 2003-11-25-03:00 ) |
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「これなしでは生活できない発明品」 トップに歯ブラシが! 2003.01.23 - CNN (CNN) マサチューセッツ工科大学の研究チームが、米国の人を対象に「これなしでは生活できない発明品は何か」という電話アンケートを取ったら、歯ブラシが文句なしの1位になった。2位以下は車、パソコン、携帯電話、電子レンジだった。 今回の調査は、成人1000人と10代400人を対象に、研究者が予め選んだ歯ブラシなど5品目のうち「これなしでは生活できないのはどれか」を電話で尋ねたもの。このほかの設問では、成人の60%、10代の56%が「生きている間にがんの治療法が見つかるだろう」と答えている。 全米歯科協会のリチャード・プライスさんは「当然の結果だ。歯は毎日使うもの。車やパソコンなら取り替えがきくが、歯はそうはいかない」と話す。 研究チームは、歯ブラシが1位に選ばれたことについて強い関心を持っている。一般の人は「偉大な発明は複雑なものであってはならない」と、考えているからだそうだ。 歯ブラシの発明は意外と古く、全米歯科協会によると、1498年に中国の皇帝がブタの剛毛を骨に植えて作ったことがわかっている。このタイプの歯ブラシは人気を呼んだが高価だった。経済的に余裕のない家では歯ブラシを家族で共有していたという。 1938年になり、有名な化学会社デュポンがナイロン歯ブラシを開発し、米国で歯ブラシの使用は一般化した。 チームはこれまで、発明をテーマにしたさまざまな調査を行っている。1995年の調査では、約半数の回答者が「発明家は変人だ」と答え、98年の調査では56%の回答者が「医学の進歩の中で最も大切なのは、抗生物質の発明だった」と答えている。 また99年の調査では「最も重要な発明家はだれか」という問い、凧揚げによる静電気実験で有名なベンジャミン・フランクリンが、マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長や、電話を発明したグラハム・ベルを押さえている。 |